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シリコンバレーVC界で最も ”ワイルドだろ?” な男 –デイヴ・マクルーア(500Startups)に学ぶ起業&投資の極意

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dave1 780

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みなさんはデイヴ・マクルーアをご存知だろうか? 彼は世界中のスタートアップ企業(その中でも特に設立から間もないもの)に小額投資するベンチャーキャピタル(VC)500Startupsの創業者でありCEOである。エンジェル投資家の中でもテクノロジーにフォーカスした「スーパーエンジェル」の一人として知られる。痛快な言葉遣いが特徴的で、ファンも多い(twitterでは約16万人のフォロワーを抱える:2013年7月末)。

デイヴの豪快な言葉遣いが分かる動画:

私たちの実生活において彼ほどのキツい言葉が使われることはあまりないが、「とにかく正直にやることは、どの会社にとってもプラスに作用する」という彼の考えには大いに賛同する。特にまだ生まれたてのスタートアップ企業が、まさにこれから投資家たちから多額のお金、または多くの時間を支援してもらおうという段階にあるときに、この正直さが明暗を分ける。すでに十分すぎるほどのリスクを抱えている起業家たちには、お世辞や言葉だましのような、うすっぺらなコミュニケーションのために遣う時間はないはずなのである。

この哲学に裏付けられたデイヴの活動は非常に魅力的で、他のVC投資家たちとは一線を画している。今回はそんな彼の哲学について、少し紹介したい。ちなみに彼が率いる500Startupsの日本向け投資家用資料は弊社btraxが手がけさせて頂いた事もあり、デイヴを含め500Startups関連者との交流が深い。

(参考記事: シリコンバレーのキーパーソン3人が語る、次世代イノベーションとは

 

多文化ビジネスをつくる

デイヴは常に広い視野を持ち、アメリカ国内だけでなく世界各地ー特にアジア圏から、グローバルに展開できそうなスタートアップを支援する活動を続けている。彼の活動は多岐にわたり、Geeks on a Plane(起業家たちのための見学ツアー企画。東京や香港、北京、シンガポールなど世界中のホットな地域を巡る)も始めるなど、世界中のスタートアップを精力的に支援している。

スマートな起業家たちはシリコンバレーの外でも学びを怠らず、いつも競合の動きに目を光らせているものだ。その対象は英語圏に限らない。500Startupsも、東京や北京をはじめ世界各地にメンターを抱え、様々な分野の専門家たちからアドバイスを受けられるネットワークを築き上げている。

 

ニッチ市場をさがす

デイヴはいつもニッチ市場(=すきま産業)の重要性を強調する。次のInstagramやFacebookをつくることに意味はないのだ。

世の中には未解決の課題がたくさん残っているが、言い換えればその解決策を提案することでビジネスを回すチャンスも大いに残されているということだ。もう既に存在するサービスを改善することよりも、そうした小さなニーズに応えていくことのほうがよっぽど意味のあることなのである。

私たちの日常に存在する小さな作業は、あまりに目立たない存在で私たちは当然のこととして接しているため些細なものに思える。しかしそういった課題に対する解決策こそが、社会に大きなインパクトを与えるのである。デイブが求めるのはバリー・ボンズのようなごく稀に場外ホームランを打つ大型スラッガーよりも、コンスタントに二塁打を出せるイチローのようなスタートアップである。

 

認知してもらうこと

スタートアップ企業でも、ただコーディングするだけでなく、マーケティングに注力することも重要であるとデイヴは言う。北京でのプレゼンテーションの中で彼は「検索エンジン最適化(SEO: Search Engine Optimization)やマーケティング活動、Appストアのローカライズなど、より多くの人に知ってもらう努力を怠るべきではない」と説いている。

これまでにも素晴らしいアイディアの多くが、マーケティングの失敗で消えていった。反対に、一見インパクトが薄そうなサービスでも、マーケティングを上手くやったことで成功を手にしたものもある。

マーケティングは煙たがられることが多いが、ビジネスにおいて最も重要な要素のひとつであることを認識しなければならない。うまくやれば、押付けがましくなることもない。マーケティング戦略を通して、サービスについてより多くの人に知ってもらい、その人々と価値を共有することができれば、成功に一歩近づけることになる。

 

シンプルに、シンプルに(Keep It Simple Stupid: KISS)

500Startupsは投資するスタートアップを評価するにあたり、いくつかのシンプルな基準を設けている。これらは一見当たり前のようなことのように見えるが、これらを忠実に体現しているVCやスタートアップはあまり多くない。とにかくシンプルで分かりやすいものが、良い結果に結びついていることが分かる。(参考記事:スタートアップの収益モデル構築

  • そのプロダクト(サービス)はある特定のターゲットの課題を解決するもの
  • 資本効率が良いこと($1M以下の資本でも業務運営が可能であること)
  • 基本的にインターネットベースで周知できる(ウェブ検索、ソーシャル/モバイル広告)
  • シンプルな収入の流れ(取引・定期購読・アフィリエイトなど)
  • プロトタイプの結果(または過去の実績)
  • 少なくても計数可能なユーザーがいること(初期の収入源)
  • 小さなチームで、総合的に業務をこなすこと(エンジニア、デザイナー、マーケティングなど)

 

スタートアップがビジネスを変えてゆく

VC向けの説明やテクノロジーに集中することで見失いがちだが、スタートアップは小さな組織で、その運営のためにはそれぞれの会社に見合った戦略を練ってゆく必要がある。

以下はウェブ系スタートアップの差別化とその重要性についてのデイヴの言葉である: (註:デイヴはウェストヴァージニアっ子(カリフォルニア在住)で、江戸っ子ではありません。)

「世の中にはいーっぺぇ(店舗販売の)小売店があるけど、インターネットのマーケティングに関して見たらてんからダメなもんばかりだぜ。てんから同じサービスをネットで作るだけで、やつらに勝つことなんて簡単なことだぜ。こんなに簡単なことをどうしてみんなやらねぇんだ?

そんなビジネスはいっぺぇバカげた経費出てっから非効率的、おまけにウェブマーケティングにはまーったく手ぇ出してねぇ。やつら脳なしの恐竜みてぇなもんで、おめぇさん方なら簡単にやっつけることができるぜ。いんや、やっつけねいけね!

だっからよInstagramみてぇなアプリをつくるのはもうやめて、ピザデリバリーのビジネスでもなんでもこしらえてやつらを打ち負かすんだぜ。なんでかって、それが何億ものビジネスになりうるってのに、いまなぁクソみてぇなのしかねぇっからだよ」

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デイヴの奥様は日本人で、家族に会うためにほぼ毎年日本を訪れていることもあって、彼は日本に対して人一倍アツい思いを持っている。このビデオは今年(2013年2月)に大阪で彼が講演したときの映像である。全身からあふれ出るデイヴのエネルギー(と彼のアグレッシブな言葉遣い)を感じて頂けると思う。

…あのような地震や津波を経ても、いまいち危機感が感じられない。

これはジョークなんかじゃない。

みなさんは「出る杭」になることができるだろうか?

この講演のスライドも公開されているので併せて参照していただきたい。

※この記事の原文(英語)はこちらから

 

写真:Eva Blue on Flickr
文・訳:井上 太郎 @nomusicnotaro

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